哀しみとサイプレス

サイプレスことイトスギは、ヨーロッパでは墓地に植えられると本で読んだことがあります。

死の象徴とも言われるこの樹は、ゴッホの絵にも描かれている背の高い針葉樹です。なんとなくイメージできましたでしょうか?

針葉樹のスッと身体を通り抜けるような香りは、哀しみをどんな風に癒すのか。

中医学で言うところの陰陽五行と関係しているのか?(サイプレスは呼吸器系に作用する精油であり、肺は哀しみの臓器なのです。)

どこかピンとこないまま、それでもワークショップでは何度もサイプレスについてお話ししてきました。

先日のこと、近しい人と離別し、眠っても眠っても晴れない哀しみを知りました。

何とかしようと今まで自分を助けてくれた香りを思い浮かべるものの、どれも嗅ぎたいと思えませんでした。折れた心を無理矢理起こすことはしたくないと、『癒し』の類いは全く受け付けられません。

哀しみの色

しばらくあれこれ考えてから「サイプレスはお墓に植えられるんだった」と思いだし、「それなら嗅げる気がする」と胸に塗ってみました。

次の日の朝、目覚めて一番に頭に浮かんだのが「眠れた」ということ。

日付が変わってもどれだけ眠っても、深い哀しみが軽くなることはなかったのに。

突然訪れた長い一日がようやく終わり、新しい日が始まったと実感できたのです。

哀しみの霧はかき分けてもかき分けても立ち込めてきます。それは仕方のないことなのだけれど、サイプレスの香りは哀しみに寄り添うように静かに胸のもやもやを散らしてくれます。静かな光をスッと通してくれます。

なるほど。昔の人はこのことを知っていたのだな、などと感心する余裕も生まれつつあります。

日にち薬が効いてくるまで、サイプレスのちからをお借りすることにします。

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